タバタビトのフィンランド

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主にフィンランドの文化的なことを伝えています。

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フィンランド語を学ぶ(シリーズ:フィンランド語講師がみたスオミ)
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    タバタビトでフィンランド語のオンライン講座を担当する本多雄伸先生。
    先生の初渡芬は1967年!約50年前の話となります。
    これは、貴重なお話がいっぱいあるに違いない!ということで、
    シリーズ化して、先生のお話を伝えていきたいと思います。

    5回目のテーマは「フィンランド語を学ぶ」です。
    どうぞ、お楽しみ下さい。

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    タバタビト:現在は講師として人に教えるほどのフィンランド力を身につけていらっしゃいますが、先生はフィンランド語をどのように勉強したのですか?

     

    本多:私がフィンランド語を勉強し始めたのは、フィンランドに行くと決めた大学3年生の頃からです。その頃は今のように学習書や文法書というのは豊富になく、ただ大学書林から出ていた「フィンランド語四週間」1冊でした。値段は学生のアルバイト1日分ぐらいで、今で言えば6、7千円でしょうか、これを手に入れて独習しました。
     

    タバタビト:随分高かったのですね。

     

    本多:今のように、いくつもテキストが市販されていませんし、学習者も少なかったからでしょう。その一冊を手に取り勉強し始めたのですが、昭和27年発行の旧漢字の本で読みにくい本でした。当時は今のようにCDの音源が付いているわけではなく、本の最初のほうには、カタカナで読み方がふられていて親切ではあるのですが、はたしてそれが正しい発音なのか、疑問を持ちながら勉強しました。例えばこんにちは(Hyvää päivää! ヒュヴァー・パイヴァー)は、ヒュヴェー・ペイヴェーのように(笑)
     本は半分ほどまで読んだところで出発することになってしまい、後は当たって砕けろで、まともに発音できたのはKiitos(ありがとう)とsauna(サウナ)だけでした。

     

    タバタビト:2語を携えての現地入り。いざフィンランドに着いてからはどうだったのですか?

     

    本多:はじめは下手な英語でやりました。でもそれは相手が英語を話す場合です。当時はヘルシンキ市内でも英語を話す人はほんの少数でした。
     

    タバタビト:今の英語の普及率を考えると信じられませんね。フィンランドは数十年で教育システムを確立したということがうかがえます。
    さて、英語も通じにくい、フィンランド語力もまだ未熟な状態で、どのようなコミュニケーションをとっていたのでしょうか?

     

    本多:買い物は、当時は小さな商店はもちろん、大きなスーパーでも生鮮食料品は対面販売が主流でしたから、初めは紙にメモして行って、それを読んで注文し、支払いは紙に書いてもらって払っていました。
     またラジオはよく聞いたのですが、声は棒状の音としか認識できず、単語の切れ目がつかめません。当然意味など分かりません。こんな調子でしたので「さあ困った!どうしよう。何とかせねば」と痛感しました。

     

    タバタビト:それは困りましたね。何か解決策を見つけましたか。

     

    本多:ある日、まず数字を覚えよう、覚えながら発音を練習しようと気が付きました。パンやソーセージの買い物に、一々書いてもらっていたのでは埒があきませんからね。それとイントネーションをラジオを聞くだけでなく、実際に発音しながら叩き込む必要がありました。私はもともと英語の音感が悪く、日本語に似たフィンランド語に出会ったのが幸いしました。
     それで厚い雑誌を前に置き、ページの下に書かれているページ数の読み上げを始めました。任意のページをさっと開いて数字を読み上げ、読み上げが終わらぬうちに、次の任意のページを開いて読み上げるということを、息継ぐ暇もなく読み続けます。56(viisikymmentäkuusi)、16(kuusitoista)、134(satakolmekymmentäneljä)、84(kahdeksankymmentäneljä)・・・と言う具合にです。

     

    タバタビト:どのくらい続けたのですか?

     

    本多:2〜3週間だったでしょうか。この成果は、思ったより早く表れました。それまで1本の音のつながりにしか聞こえなかったラジオから流れるフィンランド語が、単語の切れ目が聞き取れるようになってきたのです。こうなると分からない単語を辞書で引くことができます。語彙が増えてきて、買い物も楽しみになります。いくら?と聞いてすぐに支払えるようになったのも励みになりました。
     

    タバタビト:どんどんフィンランド語が身についていく感覚ですか?
     

    本多:そうですね、ただ、失敗も沢山しました。例えばその当時の肉屋では、肉を大きな塊で売っており、それを希望の大きさに切り分けてもらって買うのが一般的でしたがそこでtämä(これ)と豚の足を指さして注文したら大きな前足1本を紙に包み始めたので慌てて制止して2センチ厚に切り分けて貰いました(この場合はtästä ○kg(これから○kg)と注文する)。
    また食堂で壁のメニューにpaistetut nakit ja perunasoseとありました。最後のsoseを自分勝手にソーセージと思い注文しました。出てきたのは焼いたウィンナーソーセージとマッシュポテトです。自分では正解と思っていたのですが後でsoseはマッシュしたものだと聞かされました。結果オーライでしたが失敗です。


    タバタビト:失敗を繰り返しても実践していくのが大切ですね。

     

    本多:週末は住んでいたケラヴァ(Kerava)から毎週のようにヘルシンキへ遊びに行きました。歩いていると路面電車のボディーに下記の絵と「Osta suomalaista!」の文字が大書してあるのを頻繁に見かけました。フィンランド人がどうしたんだ、と疑問を持ち、すぐ調べればよかったのですが、辞書を引かぬまま何カ月も過ぎてしまいました。

    で、ある日ふとOstaは動詞ostaaの命令形だと気がつきました。フィンランド語四週間で読んでいた文法と現実とがつながった瞬間でした。なぁんだ、フィンランド製品を買いなさい、(外国製品ではなく)フィンランド製品を買って国内生産を伸ばそうというキャンペーンだと気が付きました。
     

    タバタビト:そうやって、理解を深めていったのですね。

     

    本多: 言葉は、子供がお母さんの口真似をしながら覚えていくように覚えると早く身に付きます。ある日電車に乗っていたら2歳半ぐらいの男の子が「Tule tänne!」「Tule tänne!」と車中に響き渡る声で連呼していました。「こっちへおいで!」の意味です。この子はいつもお母さんにそう言われているのでしょう。よく聞いているとTule tänne! は「トゥレタンネ」ではなく「Tulet tänne! トゥレッタンネ」と発音しています。四週間で読んだ「無声音」がどんなものか分かった瞬間でした。子供に教えられました。
     

    タバタビト:私も現地では、子どもは良い先生だと感じたことがあります!

     

    本多:こうしてその場その場でフィンランド語を少しずつ覚えて行き、半年ほど過ぎるとそれまで使っていたブロークン英語がピタリと出来なくなりました。フィンランド語で考えるようになったのだと思います。


    タバタビト:今回はどのようにフィンランド語を学習していったかのお話をうかがいました。ありがとうございます。また次回も宜しくお願いします。

     

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    本多先生が担当するフィンランド語講座。
    オンラインで全国どこにいても学習できる初級と、
    添削でフィンランド語を深める中上級があります。
    次回は2016年10月に開講予定です。

    http://tavatabito.net/suomea.html

    【本多雄伸先生のプロフィールはこちら】
    http://tavatabito.net/suomea-opettaja.html

     

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